「冷静と情熱のあいだ」ってなんとなく面白いタイトル

 2001年の映画だというから、ずいぶん前のこと。そういえば、当時、あまり本屋が好きでないし、本もあまり購入しない私が、なんとなく手に取ったちょっとおしゃれな本を買ってしまったことがありましたが、たしかそれがこれ。でも、実際には読むことはなく、処分したんだと思うのですが・・・。赤と青の本に分かれていて、それがボックスに入っていた。赤は江國香織、青は辻仁成が作者だった、なんか不思議な本。失恋でボロボロだった時に、なんとなく癒してくれそうだから?と買ったんじゃないかな。でも、本なんかで癒されるタイプじゃないのか・・・。多分その直後くらいに今のダンナに出会っていたから、もう癒されたのかもしれない。

 原作はだから知らない。でも、なんか映画化されて話題になっていたことは覚えている。当時、ケリーチャンがとても有名で、あちこちにでてた。その一環だったのか、まあとても目つきのきつい女優さんだな~くらいにしか今は思わない。そこそこ日本語も話しているから、まさか香港の女優さんだとは予想もしていなかった。

 私は、昔から竹野内豊のファンだから、今からするととてもふっくらしていて、ちょっと触れたいくらいのふわふわ感。そして、朴訥な素朴な青年を演じている。今の竹野内豊と比べると、温かみを感じるかな。

 その竹野内豊と比べると、ケリーチャンは目はきついし、表情も硬い。だから、一応「冷静」の象徴として描かれているけど、ちょっと冷たすぎる。セリフも服装もなんか冷たい。冷たい女優さんということもあってケリーチャンにしたならやむを得ないけど、もう少し気持ちが本当の気持ちを伝える演技を期待したい。

 逆に竹野内豊は「情熱」の象徴(一般的な男女を区別するカラーと逆なのは意図的か?)として、男性にしては珍しいほどに表情が顔に出やすい。普通なら、無口とかツンデレが当たり前の男性キャラが、手に取ってわかるほど表情が豊か。

 つまり、お互いのもつイメージが「冷静と情熱」で表され、その「恋に」冷静な女性と情熱的な男性の温度差を映画の中でちょっといらいらするくらいに表現されている、って感じかな。だから、「冷静と情熱のあいだ」なんだよ。恋になかなか成就せず、うろうろしてみて、最後に行く着くところは・・・と。

 恋愛って、冷静に分析してみると、実はそうなのかもしれない。たまたまイタリアのミラノやフィレンツェを舞台にしているけど、どこかしこで起きている恋愛というものは、「冷静」と「情熱」の間でうろうろし続けて、それがやがて成就して円熟していく・・・それがなになのかはわからないけど、それが恋愛なのです。だからまどろっこしいし、胸キュンするし、苦しいこともしばしば。そんな感覚、結婚してもう13年も立つと忘れてしまった。いわゆる恋愛から愛情に変わったから、もうあのころの「冷静(これ、ダンナ)」と「情熱(これ、私)」のあいだでうろうろした時代は過ぎたこと。なんか懐かしいな・・・と思う。

 こんな風に、分析してしまうと面白くないけど、面白い視点で江國さんと辻さんが描いたんだな、と思う。なんか淡く、緩い感じで流れていくけど、そんなもんか?とも思える。あまり携帯電話やスマホが発達していない時代だから、いろいろと文明的にもまどろっこしい、アナログな部分はあって、それがまたいい味をだしていると思える。2時間たったとは思えない。なんとなく、いいかな、この映画。ケリーチャン以外はね。